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日本の音楽配信サービスの特殊性と未来を考えてみる その3

headphone

 

台風一過で、やっと秋が来たようで、過ごしやすくなってきましたが、いかがお過ごしですか?いつもだと、iPhoneの予約数の発表があるはずなのに、今回はありません。
アップルさん、なんか忘れちゃったのかな?

こんにちは。アクセルエンターメディアのナカノヒトです。

そろそろ、日本の音楽配信の特殊性と将来を考えるのオチをつけなければなりません。題名の割には、大した結論になりそうもないのが、残念ですが、日本の音楽配信は、着メロ、着うたというところから、一般化し、市場を作ってきました。パッケージの落ち込みとは、全く別の次元で、市場を作ってきた。そもそも、パッケージがデジタルに流れたので、パッケージが落ち込んだんじゃないということころが、ポイントです。

パッケージの代替としてのデジタル配信ではなくて、従来、音楽に使っていたお金とは、「別の財布から、お金を別名目で引き出して」市場を作ってきました。しかも、キャリア課金(諸外国でも最近再評価されだしていますが)とともに成長したこともあり、本来コンテンツバイコンテンツで支払いを行うもののはずなのに、月額課金制が受け入れらてきたという特徴がありました。

月額課金のポイント制で、料金は払えど、楽曲をダウンロードしない「スリープ会員」が存在したからこそ、70%前後の高い印税率のこのビジネスが多くのサードパーティCPにおいても成立し、市場が作られ、底から、携帯電話向け音楽配信とも言える着うたフルに踏襲されたということもあるのですが、この話は詳しく話すと長くなるので、別の機会にするとして、これらの状況を考えて、なんとかオチをつけます。

日本以外の海外では、パッケージメディアの衰退して、iTunesなどのデジタル音楽配信へ移行し、特に欧米では、iTunes killerと言われるSpotify中心になどの定額音楽配信サービスが急成長しています。Spotifyなどの定額音楽配信サービスの特徴は、俗に言われるフリーミアムモデルで、お金を払わなくても、一定時間まで楽曲が聴けるサービスと組み合わさっているので、(これが、彼らの事業の利益の足を引っ張っている元凶でもあるのですが、その議論は、ここではしません)特にパッケージが全く売れない上に、違法配信が横行している国では、(ヨーロッパだとスペインとか)特に救世主と言われています。ヨーロッパでは、Spotifyを導入した国は、音楽市場が下げ止まり、導入していない国は音楽市場の下げ止まりがないなんて、調査結果もあるくらいです。

これを元に、日本も・・・なんていう方が結構たくさんいらっしゃるのですが、それはあまりにも日本の状況を理解されていないのではと思います。パッケージが売れず、違法配信が横行し、という状態では、楽曲の値段は、ゼロだったわけです。違法配信をメインにしている人たちだって、探す努力や手間が多少あることを考えれば、Spotifyのフリー版に入った方がいい。そのうち、たくさん聴く人にとっては、1曲あたりの価格は限りなくゼロに近いならということで、Spotifyの有料版に入る人もいるわけです。ゼロから、わずかであっても、有料に流れるわけですから、そりゃあ、下げ止まるどころか、上向くことだってあります。要は、底辺の状態ですから、投げ売りでも、金を出してくれる方がなんぼかマシというものです。在庫品セールみたいなものでしょう?

日本は、事情が違います。諸外国に比べたら、パッケージはまだまだ売れているし、海外に比べたら、違法ダウンロードで音楽市場が成立しないほど(中国みたいな状況)ではありません。

そんな中、日本でも、SONYのMusic UnlimitedやKDDIのKKBOXなど、本格的な定額音楽配信サービスが複数スタートしています。価格は、紆余曲折ありましたが、月額980円と他国並。ですが、今のところ、スロースタートのようです。現状は、不参加のアーティストやレーベルが多いことや、レコード会社側のウィンドウ戦略の影響で、原則、メジャーレーベルの新譜が配信されないなど、ラインナップがカタログよりであることもあるので、純粋に、定額制音楽配信が日本で受け入れられないとかの判断はできないのですが、少なくとも、漏れ聞こえてくる数字を見る限りは、現時点では、ほとんど受け入れられていないようです。これは、おそらく、Spotifyが上陸しても、状況は大きく変わらないでしょう。
そんな中で、急激に会員を伸ばしている日本特有のサービスがいくつかあります。よいとか、悪いとかではなくて、これはひとつの答えじゃないかと思っています。その筆頭が、サービススタートから11ヶ月で100万人の会員を獲得し、成長を続けるドコモのdヒッツ。

もちろん、ラジオ型サービスが答えだというのではありません。

月額980円で数千万曲聴き放題のサービスは、ゆるやかにしか会員が伸びていないのに、一方月額300円(税込み315円)のラジオ型サービスには、1年も経たずにして100万人ものユーザが入会しています。dヒッツに限らず、月額390円のauスマートパスは、わずか14ヶ月で600万人を突破、その20%は、うたパス、ビデオパスに入っていると考えられ、ソフトバンクとAVEXの共同運営している月額490円のUULAは、わずか3ヶ月半で、50万人を突破。ドコモのdアニメストアも1年1ヶ月で、100万人突破と、信じられないスピードで有料会員を獲得しています。

海外から見ると、この状況は不思議に映るようで、「日本人は、500円未満の月額制でないと入らないのか?500円未満で使い放題であれば、なんでも入るのか?」と疑問に思うようです。実際、海外の音楽業界の方にこの現状の理由を説明してくれと質問を受けていた国内の音楽業界の友人もいたくらいです。彼がどう説明したかは、確認していませんが、確かに、フィーチャーフォンの時代から、月額315円というのは、携帯電話で課金する1つの単位であり、最もハードルの低い課金料金であることは確かです。ただ、月額500円を超えているか、否かということが、980円の定額制音楽配信サービスとそれ以外の伸びているサービスの明暗を分けているかといえば、YESでありNOです。

急激に、会員数が伸びた理由。それは、日本独自の加入プロモーションシステムに乗っかることができたからです。そのプロモーションに乗るためには、月額300円~500円という価格帯であることがふさわしい。そういう意味では、月額料金がが500円を超えているかは、答えとして正解です。そのプロモーションシステムは、業界では、「レ点」と呼ばれています。

元々は、キャリアの申込書にある□にチェックの意味で、カタカナの「レ」に似たマークを書き入れること=申込時にデフォルトで付帯させて申し込ませることを呼びます。いわゆるキャリアオプションのようなものです。キャリアが提供するサービスだけに許される、かなりの高確率で加入を促せる究極のプロモーション。ただ、強制的に入れているだけじゃないか、とかいうこともありますが、まあ、本質的な部分には、今回は目を瞑っておいて続けます。

オプションの留守電、キャッチホン同様、当然の流れで、おすすめし、申し込みます。機種変、新規加入をする全てのユーザにおすすめし、同時加入してもらうため、ユーザが、何かを代替するサービスとして選択するのではないため、ある種、通信費の一部という感覚で支払うため、既存の市場のパイを奪うことがほとんどありません。単純にアドオン。ときには、断ると、端末の購入価格が大幅に上がったりする場合があります。1ヶ月目でヤメる前提なら、割引分(=断った場合の割増分)と天秤にかけて得かもと皮算用して、結局申し込みます。

ショップでは、加入時には、かならず、それぞれのサービスに関して、十分な説明を行うよう指導はされていて、実際説明をしているのだとは思いますが、顧客側があまり聞いていないことや理解していないことが多く、加入している事自体を意識していないケースも少なくなく、その場合、解約されることも少ないので、会員数は積み上がる一方です。サービスには加入しているものの、全く使ったことがないユーザが多数いるというのも、この手法の特徴でもあります。段々、サービスの認知度が上がるに連れて、お金だけ払っていて使っていなかったユーザも段々使ってみるようになり、ユーザのアクティブ率が上がっていきますが、一度使い出してしまえば、ユーザは解約しづらく、元々課金されている意識も薄いので、止めずに使い続ける可能性は高いのです。もちろん、そこで、サービス内容がひどすぎれば解約しますし、ある程度のクオリティが保たれている前提ではありますが、既に加入しているサービスを続けさせるので、、新規に有料で入会させると際の要求クオリティに比べれば、ハードルは低めだと思います。

この日本固有の「レ点」とサブスクリプションサービスの相性は抜群で、拡大させたい市場の既存のパイを奪わずに、通信料を財源として、急激に有料会員を獲得させ、その結果、その市場に売上を作り、また、提供するサブスクリプションサービスは、稼働率が低ければ、既存市場には影響を与えようもなく、稼働率が上がったとしても、既存の市場の商品を完全にバッティングするほどのサービスレベルに調整することで、既存の市場への影響を最小限に、サブスクリプションという新しいサービスにユーザをソフトに慣れさせることができます。

そういう意味では、本質を抜きにすれば、レ点とソフトなサブスクリプションサービスを組み合わせることで、「音楽税」を全携帯電話保有者から徴収し、業界に還元することで補填をしながら、新たなサービスへのスムーズな移行を試みるというのが、日本式の音楽配信の未来の模索の仕方ではないでしょうか?まさに、これこそが、日本式のケータイ経済システムだと思います。

実際、Spotifyのようなフリーミアム型の音楽サブスクリプションサービスは、フリー部分の費用負担の重さと、1再生あたりの印税額の低さから、将来、事業として成立するかは、未だ証明されていないので、これが音楽配信の未来のスタンダードなのかはわかりませんが、少なくとも、日本式のケータイ経済システムであれば、仮にフリーミアム型の音楽サブスクリプションサービスというモデルが崩壊したとしても、正解がでるまで、市場を潰さずに、模索を続けることができそうです。

もう一つ、イマイチ詳細がわかりませんが、第二の着うたになるかもしれないサービス、それがLINE MUSICかもしれません。原盤を活用し、印税を発生させるものの、既存のビジネスに悪影響を与えないプラスアルファのサービス。着メロから派生した着うたは、まさに、そんなサービスでした。

着うたは、あくまで着信音であって、当時のCDセールスや、CDレンタルから顧客を奪うものではありませんでした。

時期を同じくして、CDパッケージ市場がシュリンクしていたので、あたかもCDの代替品であるかのように語られたこともありましたが、着うたは、仕組み上、CDから原則自分では作成できず、また、 着うたから、CDを作ることはもちろんできなかったため、全く別のアドオンの売上として、音源を使ったビジネスとして、音楽業界に貢献しました。

爆発的に全世界に普及したLINE上で使われているスタンプも、似た響きがあります。

購入したスタンプは、LINEでのスタンプ以外に使えず、スタンプ自体は、自作することはできません。(スタンプ風画像は作れますが、スタンプにはならないはず)様々な既存のIP(Intellectual Property)を利用する全く新しい商品であり、ここで作られた売上は、同一のIPを利用した他の商品の売上を阻害することはありません。すでに月商10億円を超えています。

この音楽版を感じさせる新サービス「LINE MUSIC」が、年内にスタートするという発表が先日されました。

詳細は、全く発表されていませんが、
・LINE本体のアプリで基本機能として導入
・LINEフレンドと一緒に音楽を聴いたり、コミュニケーションを楽しむ

というところを考えると、ここで購入しない限り、この使い方はできなさそうです。
例えば、iTunesで購入した楽曲がiPhone内に存在していたとしても、LINEアプリ上で、「LINEフレンドと一緒に音楽を聴いたり」することは、大人の世界的にも難しそうです。LINEアプリ上での使用に限定して、今までにない使い方をするために楽曲を購入する新たな機会と考えると、まさに着うたの再来となる可能性があります。

着うた市場の拡大は、ケータイの急速な普及と重なって加速しました。LINEは、現在、全世界2億人のユーザを抱え、成長を続けています。当然、日本市場で先行して始まるようです。日本市場で成功した暁には、LINEを通じて、特にアジア圏では、日本の音源がLINE MUSICで売れていく可能性も期待できます。詳細はわかりませんが、第2の着うたとして、期待してよいのではないでしょうか?

なんだよ、結局レ点とLINE頼りかよと思わないでください。他国には、それすらないんですから。
どちらも現状の音楽配信ビジネスとは、モデルが離れたところの話になってしまいましたが、新しい、もしくは、新しそうなサービスが出てきたら、それを「マイルド」にして、レ点でやってみる。圧倒的な数のユーザから、実際にお金を徴収しながら、実際に使ってもらって、チューニングしていく。その間、業界に対しても補填をしながらです。一方、完全に新たな市場として期待されるLINE MUSICもある。と考えると結構バラ色です。

パッケージや普通のアラカルト配信は、どうなるの?というと、より趣味性が進んで行くんじゃないかと思います。日本国民の○%がこぞって同じCDを買うなんて時代は、2度と来ない思いますが、ファンが記念品として買うものとしてのパッケージというのは、続いて行くものだと思います。パッケージは、ファンクラブで限定的に販売するものという時代がやってくるかもしれません。この有料ファンクラブというものが、これほど成立しているというのも実は、日本の特殊事情だったりもします。アーティストを後援する組織がしっかり存在している以上、近い将来には、ファンクラブ会費に楽曲代が含まれていく時代が到来するかもしれません。そういう意味では、囲い込みの意味でも、各レコード会社が、ファンクラブ領域に進出して直販、もしくは、楽曲のサブスクリプションサービスを行う可能性も十分にあります。そうなれば、ファンクラブの会員からの会費(楽曲費用も込み)で、原盤制作費用がそもそもペイしている状態から、楽曲制作ができるという時代がやってくるかもしれません。その時には、パッケージを購入したら、デジタル版はついてくるというKindle MatchBookの音楽版は、必須となるとは思いますが。

結局、ファンクラブというオチになってしまいました。ファンクラブ屋が書いているので、あしからず。

(こういう真面目なやつは結構疲れますね。)

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日本の音楽配信サービスの特殊性と未来を考えてみる その2

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13日の金曜日です。なんか、弊社のfacebookページからネタを振られましたが、何も思いつきません。
今日から、iPhone 5Cの予約受付が開始するようですが、iPhone 5Sの予約は受け付けないようです。仕方ないので、実は、もう、Appleストアに並んでいます。これから、1周間並びます。
ええ、もちろん、嘘です。
こんにちは。アクセルエンターメディアのナカノヒトです。

昨日は、途中まで記事を書いたのですが、途中で寝てしまい、更新できず。おかげで、1日スキップです。

日本の音楽配信サービスの特殊性と未来を考えてみる その1
http://axelentermedia.co.jp/wordpress/wp/?p=524

は、たくさんの方に読んでいただけたようで、このブログのアクセス数もこんな感じになっています。

googleanalytics

ありがとうございます。なかなか、毎日更新というのも、しんどくなってきましたが、がんばります。
ということで、続きです。

前回は、結構、日本は特殊ですよというお話をしました。

世界で類を見ない、CDレンタルが合法化されているという特殊事情の中で、CDというパッケージメディアが売れていて、元々の音楽配信市場のほとんどがフィーチャーフォン(ガラケー)向けの着うた、着うたフルで、月額課金モデルがベースになっています。

そんな中で、PCから簡単に転送できるスマホってのが出てきたもんだから、詳しい人とかは、CDレンタルとか友達から借りてきたCDをリッピングして、転送したり、時には、ニコ動とかYOUTUBEから音声をぶっこ抜いたりする。でも、マルチデバイス対応したり、フル楽曲に関しては、フィーチャーフォン時代の半額くらいに単価が下がったり、DRMフリー化したり、iTunesが携帯回線でも購入できるようになったりする中で、パソコンとかあんまり得意じゃなくて、フィーチャーフォンしか使ってこなかった人まで、スマホに移行し始めたもんだから、今までの着うたフル買うみたいに、スマホで楽曲ダウンロードで買う人も出てきたりして、結果、フィーチャーフォン市場は前年比-40%、PCとスマホ向けの配信が前年比+43%で、音楽配信市場の仕上がりが前年比-25%となりました。

詳細は「日本のレコード産業2013」日本レコード協会
http://www.riaj.or.jp/issue/industry/pdf/RIAJ2013.pdf

実際、フィーチャーフォンから、スマホへの移行は急速に進んでいて、2012年度出荷台数の4181万台のうち、71.1%の2972万台(MM総研)。
日経新聞「国内スマホ出荷台数、1位アップルのシェアは35.9% 」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK09034_Z00C13A5000000/

これを見ると半分以上すでにスマホであるような錯覚に陥りますが、スマホからスマホへの買い替えも含めて、3000万台なので、2013年第1四半期に行われたGoogleの調査によると、

スマートフォン普及率

と、日本の現状のスマホの普及率は、諸外国と比較して非常に低い、25%。調査によってばらつきがあるといっても、少なくとも半分は、フィーチャーフォンというのが、日本の現状です。

アクティブユーザほど、買い替えるという事情とか、弊社のユーザ分布を考えても、有料サービスを利用しているユーザのフィーチャーフォンとスマホの比率は、ざっくり半々くらいじゃないかと思います。

配信量金額

その中で、ダウンロード数の比率は、FP:SPで、3:1、配信売上額比率で、2:1というのは、フィーチャーフォンの配信の中に、単価の安い着うたが入っているからでしょう。そして、着うたの落ち込みは、スマホへの移行時には、一応、iTunesでも着信音として250円で販売されているものの、スマホに移行してからは、着うたは、壊滅状態になっており、到底埋められるものではなく、そのうち消える数字です。フルトラック配信については、ある程度は、単価の安いスマホの音楽配信へ流れますが、一方、CDレンタルなどの代替手段に流れますので、単純に補完できるものではありませんが、スマホ単体では、かなりの上昇は見込めます。が、フィーチャーフォンからの移行部分だけでは、マイナスにならざるを得ません。

日本の音楽ソフト市場は、85%をパッケージが占めており、音楽配信は、わずか543億円しかありません。
そもそも、音楽配信自体、売れてないんじゃないでしょうか?

元も子もないことを言うと、全世紀末にビークを付けた音楽パッケージ市場は、今までずっと下がり続け、ピーク時の約半分になってしまいましたが、その下がった分は、もちろん、一部は、デジタル配信に移行していたり、よく指摘されるように違法ダウンロードというのもありますが、実はその大半は、「ただ消えた」だけなのだと思います。

CDを買う、iTunesで曲を買うという行為自体が、特別な行為になっているのではないかということです。

例えは、ちょっと異なるかもしれませんが、歌舞伎役者の出演するドラマは、観るし、名前も知っている人はいるけど、歌舞伎自体は一部のご贔屓がいる方が行くものになっているという感じでしょうか。わかりにくいですかね。

CDが売れないのではなくて、曲を買わないようになってきたんでしょう。よっぽどのことがなければ、楽曲にお金を出さない。ファンクラブに入っているファンの方たちは、若年層であっても、そのアーティストについては、CDを買う傾向が強いですが、特に若い人は、他のアーティストの楽曲は、レンタルだったり、YOUTUBEだったりで済ませる。

日本での傾向は、音楽が好き、というよりは、「ヒト」に紐づくことが多いなあと僕は思っています。もちろん、きっかけは、その「ヒト」の創り出す楽曲だったりもするんですが、そのうち、「ヒト」のことが好きになり、その「ヒト」が創り出す「作品」として、楽曲を買う。だから、若い人でも、自分が本当に好きなアーティストの楽曲は、形あるCDで購入したりするんじゃないかと。贔屓倶楽部、後援会、ファンクラブ。逆に言えば、本当に好きな「ヒト」の楽曲にしかお金を払わない。

誰もが言ってることですが、若者にとっての音楽との向き合い方が変わってきただけなんだと思います。
元々、たくさんCD買ってた、今のおっさん、おばちゃんたちは、当然、歳を重ねる毎に、段々購入枚数が減ってくのは、普通の話です。(さすがに、昔ほどCDを買わなくなってはいますが、20世紀末にバンバンCD買ってたのが、心の奥の方に染み付いちゃってるから、たまに、昔好きだったアーティストが、ベスト出しちゃったりすると、脊髄反射的にこぞって買っちゃったりするんだと思います。既に持っているライブDVDがBlurayでリマスタリングされてBOXとかだすと市場が動くほどの起爆力も持っています。)

従来は、そこを埋めるだけ、若者が新たに買い始めるということで、ただ、購買者が入れ替わってということだったのですが、若者が、「録音物を買う=繰り返しその楽曲を聴く」ことに対して、お金を払わなくなってしまったのでしょう。

一番は、同じ楽曲を繰り返し聴くという行為自体が、生活の中で、他を差し置いてお金を払ってまですることではなくなってしまったんだと思います。

さらに、同じ楽曲を繰り返し聴くだけなら、YOUTUBEやニコ動でいいじゃない。楽曲も選べて、音質もデジタルで遜色なく、音だけぶっこ抜いて、スマホに転送したら、CDリッピングしたのと変わらないし。もう少し、思い入れとか、面倒とかがあれば、次の選択肢はレンタルか音楽配信だけど、急ぎじゃなければ、レンタルの方が安いので、分があります。

CDは、本当に好きなアーティストのものを、記念品というか、特別なものとして買うものなんじゃないでしょうか。配信であっても、発売日に欲しいから、レンタルは選択肢としてなくなりますし。

 

CD市場の底が見えないと言われていたのとたまたま時期を同じくして、着メロが台頭し、その後、着うたになっていきましたが、それはどうなんだという話があります。着メロは、MIDIを使ったカバーなので、音楽市場には入りませんが、着うたは、原盤を配信しているので、音楽市場に売上が入ります。

が、これは、CDの代替品ではなかったのだと思います。これは、交遊費、ある種、電話代とか、友だちと会う交通費、友達と話をするときの喫茶店代みたいな存在じゃないかと。そもそも、音楽に遣うお金がここに回ったんじゃなくて、全く音楽に遣うお金じゃないところでから、遣っていたので、音楽市場としては、完全なアドオンの売上です。

なんの代替でもありません。携帯電話が鳴った時に、鳴る音を買う。着信音にメロディーを使おうというものが着メロで、CD音源をいれてしまおうというのが、着うた。それは、自己主張であり、一方で自己満足であり、コミュニケーションツールのひとつだったのだと思います。

 

レコード協会の数字とはズレがありますが、打ち合わわけがあったので、参考までにモバイルコンテンツフォーラムの調査データを示すと

着メロ着うた市場

 2012年モバイルコンテンツフォーラム

http://www.mcf.or.jp/press/images/mobilecontent_market_scale2011.pdf

2008年、着メロは、473億円 着うたが483億円と一気に成長し、ピークを迎えましたが、着うたから派生した、着うたフルも、707億円とほぼ同時にピークを迎えていました。着うたフルは、フルレングスの楽曲配信に着信機能が追加されたものだったので、CDの代替品+着うたの複合商品で、それまでにも、なんども、各社がトライし、普及してこなかったいわゆる楽曲の音楽配信が、携帯電話向けの着うたフルで初めて普及したことは、日本という国の、特殊性をよく表していると思います。

果たして、着うたフルは、CDの代替品だったのか、着うたの代替品だったのかでいえば、市場的には、CDの代替品だったのではと思います。ユーザとしては、どうせ着うた買うなら、まるごと1曲聴けちゃったほうが便利じゃないかという意識だったんだと思います。そもそも、CDを買うという選択肢自体を持っているユーザは少なくて、どっちにしようかということでもなかったじゃないかと。

そして、ピークを迎えたあと、スマホがやってくると、着信音という市場は崩壊し、着メロ、着メロは、スマホでは、ほぼ壊滅状態になります。

そんななかで、スマホでは、着うたフルは、どうなるのか。ユーザは、着信機能とか忘れて、一旦ゼロリセットで、音楽聴くと考えます。

通常なら、今まで着うたフルをオンラインで購入していたのと同様に、スマホ向けの配信サービスで購入に全て移行、めでたしめでたしとなるのですが、

ふと、手元を見ると、便利な転送ツール。

今まで、なかった選択肢、CD借りたり、YOUTUBEからぶっこ抜いて、スマホに転送すりゃいいんじゃないの? ということで、配信は使わないという方がでてきたので、残念ながら、全部が移行するということはなくなった模様です。しかも、着うたフルと比較すると、価格は、約半額。

2012内訳

 

日本レコード協会の2012年の内訳を見ると、着うたフルの年間売上は、210億円。もし仮に、スマートフォンへの移行が完了して、着うたフルも、スマホ向けの配信に全て移行して、単価が半額になったとして、最大105億円。着うたは、壊滅して、リングバックトーンがそのままの価格で移行したとして、最大68億円。それ以外で18億円。モバイルからの移行で考えられる、増加額は、最大191億円。

現状のモバイルは、347億円あるので、ざっくり、あと150億円は、最低でも落ちそうです。乱暴ですが、このままだと、2-3年後の日本の音楽配信市場規模は、400億円がマックス。

もちろん、パッケージから、配信にどのくらい移行するかと、今までにないサービスというのは、入っていないので、そこが伸びしろになるのですが。

暗ーい気持ちになりましたか?今日は、なんたって、13日の金曜日ですから。

実は、そんな暗い話ばかりではありません。明るい兆しもないわけではないのです。ただ、Spotify(日経様の表記だとスポッティファイ)がドーンとか、Pandoraが、ドーンというような欧米的な話ではどうやら無さそうです。

ここは、黄金の国、ジパングなので。ジパングには、ジパング特有の錬金術が存在していて、もう、すでに動き出しているようです。

 

では、今宵は、ここまでにしとうございます。では。

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2012年の振り返りと2013年の抱負

あけましておめでとうございます。
アクセルエンターメディアの田島です。

リリース情報以外に滅多に更新されないこのブログですが、年始くらいは、更新します。

しかも、長文です。

2009年11月に登記され、2010年の正月から事実上始動した当社も、おかげさまで、多くの温かい取引先と多くの仲間に支えられて、4回目のお正月を迎えることができました。2010年の正月、マンションの一室のオフィスに僕と峯岸の2人しかいなかったことを思い返すと、ただただ感謝するばかりです。

さて、当社の昨年を振り返ってみたいと思います。各メディア、有名ブログ等で、2012年の振り返りは十分されていますし、みなさんもお正月にそういう記事をたくさん読まれているでしょうから、当社についてのみ、簡単に振り返ります。

まずは、月並みですが、まさにスマホ化の一年でした。

昨年の正月(2012年)に2011年を振り返ったときには、一番大きな変化は、ドコモのdメニューがスタートして、新SPモードとなったことをあげました。我々は、それをきっかけに遅ればせながら、今まで牛歩で対応を進めていたスマホ対応を一気に進めることとしました。というより、これを待ってたんですね。

で、一気に既存サイトのスマホ化をすすめて、完了。引き続き、新規サイトも積極的に立ち上げ、フィーチャーフォンサイトとスマホサイトを同時に立ち上げるということが基本となりました。更に、他社さんから移管させていただいたサイトもあり、結構大忙しな1年だったと思います。抜けがあるかもしれませんが、ざっと羅列するとA-JAX、Crack6、heidi. 、ν[NEU]、出岡美咲/iZU、ZE:A、岡村靖幸、PENICILLIN、D-BOYS、D2・・・という感じでサイトの立ち上げ、移管を行ないました。

2011年に加速し始めたスマホ化の流れはさらに速度を増し、留まることも知らず、全回線に占めるスマホ比率は30%を超えるまできました。全体の30%というと、我々のサービス対象のアクティブユーザでいうと、感覚的には半分くらいという感じです。

ついに、スマホの会員数が、フィーチャーフォンの会員数を上回るというファンクラブが、2012年の前半くらいにあらわれました。本日現在は、まだ、全部のサイトではありませんが、当社が運営している多くのサイトで、すでに、この逆転現象が起こっています。

2013年中には、確実に全回線に占めるスマホの割合は、50%を超え、当社のほぼ全てのサイトにおいて、スマホの会員数が、フィーチャーフォンの会員数を上回ることになりそうです。

2013年のどこかで、フィーチャーフォンなしで、スマホのみで新規サイト立ち上げが当たり前となるタイミングが来そうです。

もう一つ、2012年は、モバイル以外のお仕事の依頼が増えました。

本来、モバイル中心の業態で始めた会社なのですが、これもスマホの影響でしょうか?なんかPCとモバイルの境が曖昧になってきているみたいです。それどころか、なんとなくデジタルなものを活用した「なにか」の仕事が増えています。

なんのこっちゃわからないですね。

要は、PC含めデジタルがデバイスを使うものだったり、インターネットを使ってプロモーションしたり、ファンを囲い込んだりすることをざっくり相談されて、なんとかするみたいな仕事です。

これが、増えてきていて、これからも増えて行く気がします。

デバイスもメディアもどんどん級数的に増えていて、理解するのだけでも、大変だったりするんだと思います。このメディアは、この会社、このデバイスは、この会社と相談先をメディア、デバイスで分けるのも大変だし、メディアとデバイスがクロスするものだから、デバイスXメディアで細分化されちゃう。

面倒なんで、知ってそうなところに相談。の知っていそうなところが、当社だったりという感じなのだと思います。

結果的に、PCのプロモーションサイトもそうですし、動画サイトの管理だったり、ECだったり、デジタルサイネージだったり。その辺、バクっと。そんな感じの仕事が増えてきたというのが、2012年。増えていきそうな気配が2013年。

そんな感じが当社の2012年でした。

次に、業界というか、世の中の動きのうち、当社に関係ありそうな業界情報を振り返ると、

1.iTunesまわり(NON DRM、SONY iTunes参加、iTunes OTA)
2.音楽サブスクリプションサービス
3.会社の統合
4.音楽市場下げ止まり
5.イベント会社の倒産

このあたりでしょうか。

1.iTunesまわり(DRMフリー、SONY iTunes参加、iTunes OTA)

ドコモがdメニュー及び新SPモードを始めるにあたり、iモード型垂直統合音楽配信のスマホ対応として用意したのが、マイクロソフトのPlay Ready。これで、統一かと思われた矢先、アップルの要請に対応して(?)、DRMがなくなっちゃいました。

えーっ!

ってことで、DRMフリーで配信。今まで何だったの?って感じですが、DRMフリーとは言っても、どうやら、何もしなくていいよってことじゃなさそうなので、配信会社さんは、それなりに大変そうです。

レコチョクさん含め、着うた(R)配信会社さんは、スマホ市場でかなりのシェアを占めるiPhoneへの対応ができなかったことと、アンドロイドもDRMが用意できなかったために、対応が遅れ、フィーチャーフォンからのユーザ移行がうまく行かず、売上減が止まらない一年間だったようです。そして、その流れはとどまるところを知りません。

一方、iTunesはOTAを始まったお陰で、一気に売上が上がったところに、日本だけ参加してなかったSONYさんも楽曲提供をスタートしたので、もはや売上はうなぎのぼり。着うた(R)全盛時代は、シェア5%とも言われていたiTunesですが、もはや、圧倒的最大シェアを誇っていたレコチョクのシェアを脅かす存在になっている(かも)しれません。

2.音楽サブスクリプションサービス

世界的に、Spotify、MUSIC UNLIMITED、アジアではKKBOXと言ったサブスクリプションサービスが会員を集める中、日本においても、MUSIC UNLIMITEDがスタート。先行していたLISMOアンリミテッド含め、本格化するかと思われました。が、様々な理由で、現状、それほど普及していません。

海外勢は、依然、世界最大の音楽市場を持つ、日本の音楽市場への進出を狙って、レコード会社にアプローチ中のようです。

 僕自身、英国Spotifyと台湾KKBOXの有料会員なのですが、この仕組みは、一度会員になって、たくさんのプレイリストを作ってしまうと、会員を辞めた瞬間に、膨大なプレイリストが全部聴けなくなることが、退会の歯止めに変わるというもので、まんまとヘビーユーザになってしまいました。実際、CDで持っている作品が多いのですが、リッピングも面倒だし、探すのも面倒なので、聴いていなかったというものが多かったり、最近iTunesで買ったばかりのアルバムを見つけて、それをわざわざSpotifyのプレイリストに入れて、結局、Spotifyでばかり聴いていたりと矛盾したことをしています。
 
まんまとハマったのには、理由があって、求めているジャンル、アーティストの網羅性が高かったからです。

 現状の国内のサービスが会員を集められていない一番の理由は、楽曲の品ぞろえが本気じゃないことじゃないでしょうか。要は、レコード会社がどこかで、ダウンロード販売に対する影響を考えて、出し惜しみしている。そのせいで、誰にとっても、網羅性の低いサービスになってしまっている気がします。

 2013年、いろいろな国内の音楽配信会社がサブスクリプションモデルに参入すると思いますが、このモデル成功するための一つの方法は、レコード会社が全面開放まで待つか、ジャンルを絞るなどして、対象ターゲットを絞れば、ある集団に対しては、網羅性の高いサービスを提供することかもしれません。

 まず、使わせてみるってことについては、無料期間を設けて、お得意のレ点方式で半強制的に使わせてしまえばいいでしょう。

3.会社の統合と寡占化

世界のレコードメジャーでいえば、ついにEMIのレコード部門がユニバーサルに、出版部門がソニーに統合され、ユニバーサル、ソニー、ワーナーの3大メジャー時代が到来です。しかも、トップ2は、あまりにも強大で、ユニバーサル、ソニーの2社で、世界の音楽市場シェアの70%を占めます。ということは、世界の音楽市場のほとんどの方針、指針は、この2社と話をすれば決定ってことになるんじゃないでしょうか。

 世界はね。日本は多分違うと思うけど。

僕らに近い、狭い世界でも、会社の統合と寡占化が進んでいます。ファンクラブというビジネスは、収益が安定しているものの、ソーシャルゲームやソーシャルプラットフォーマーと比べると、利益率が低いビジネスです。そもそも、ソーシャル〇〇よりも利益率が高いビジネスモデルなんて滅多にないんですが、ファンクラブ、特にモバイルファンクラブをやってきた会社は、モバイルコンテンツプロバイダーが多いので、ソーシャルシフトの中で、彼らにとっての「低収益率事業」とされるので、撤退していきます。それを専業の会社が吸収したり、ファンクラブ単位で移管したりという流れが加速しています。あと、数年すると、プレイヤーが数社だけの寡占市場にな
っている気がします。

4.音楽市場下げ止まり

2011年に米国を抜いて、世界最大の音楽市場を抱えることになったらしい日本の音楽市場ですが、2012年も世界1位の音楽市場のようです。

世界中でCDの売上がだだ下がりしている中で、2012年のCDの売上が、現状維持どころか上向いたようです。

ジャニーズのCDが従来通りにバカ売れして、48とつく少女たち(一部46)のCDがさらにバカ売れして、売れに売れてソロも含めて1,400万枚。加えて、大物アーティストのベスト盤アルバムが次々出て、これがバカ売れ。

音楽パッケージ市場が下げ止まったと言われています。シングル市場は、アイドルが支え、アルバム市場は、大物アーティストが支えての、まさに東洋の奇跡。

5.イベント会社の倒産

イベントに目を移すと、フジロックが歴代1位の動員を記録。相変わらず、イベントは絶好調かと思いきや、10月に、業界大手のフリップサイドが倒産。
動員自体は増えているものの、従来、イベンター任せだったライブ・コンサートをレコード会社や事務所が取り仕切り、イベンターは制作会社として依頼されるのみになることも多く、この状況の変化に取り残されたイベンターの倒産が相次つぎました。

これは、業態変化とは関係ないが、イベント会社の中での6月にK-POPのイベントを企画し、チケットを販売したあとで、主催していたイベント会社が倒産し、イベントが中止。チケット購入者の取り付け騒ぎが起こりました。K-POPブームにより、動員が見込め、国内アーティストのイベントよりも参入障壁が低いと思うのか、K-POPアイドルを複数出演させるイベントを企画する新規参入組が多かったのも、2012年。新規参入組が同様のイベントを乱発したお陰で、消耗が早まり、その結果、それぞれの単体アーティストのライブは埋まるのに、複数アーティスト出演のイベントは閑古鳥というイベントが相次ぎました。

上記5つが2012年の振り返りでした。

かなり長くなってきたので、2013年、我々がやっていくことを簡単に。

1.寡占化が進む中で生き残れるよう、引き続きファンクラブビジネスを粛々と続けていきます。

2.ファンクラブ屋が考えるEコマースに力を入れていきます。
僕らなりの音楽の売り方も提案していきたいと思います。

3.デジタルな何かをざっくりという依頼に答えていきます。

具体的な内容をまだかけないのですが、今年もこんな感じで、走り続けます。

皆様是非ともご贔屓に。

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