ファンサイトは、ブランド・タレント・アーティスト・スポーツクラブなどを応援するファンが集まるオンライン上のコミュニティです。
ファンサイトは、ビジネス的に非常に価値のある施策です。
メーカー・小売店・スポーツ・芸能などあらゆる業種において、ファンの存在によって売上や集客数の増加など、重要な課題が解決できる可能性があるからです。
一定数のファンを抱えている場合、ファンクラブサイトを作ることが多いです。
ファンクラブサイトは、ファンと交流を深めながら自分たちのブランドを育てる場として、また、売上を伸ばすキャッシュポイントとして活用することができます。
ファンクラブサイトを作るのは難しくありません。サイトを構築する際の進め方やコツなどを解説しますので参考にしてください。
ファンクラブサイトとは
ファンクラブサイトとは、特定のアーティスト・アイドル・俳優・スポーツ選手・キャラクターなどのファンが集まるWebサイトのことを指します。
ファンクラブサイトは、ある範囲までは無料で情報を得られますが、一定以上の特典は有料会員のみとしているサイトが多いです。
サイトの会員になると、以下のような会員限定の特典があります。
・ファンクラブイベント・トークイベント
・限定コンテンツの配信
・会員限定のライブ配信
・限定グッズ販売
・ライブチケットの先行予約
・コミュニティ機能の利用
ファンクラブサイトの目的は、ファンのニーズに応えることで熱量を維持・向上させること。そして、商品の販売・会費などにより収益を上げることで、アーティストたちの活動を支援し、さらなるビジネスの拡大を図ることです。
ファンクラブサイトの例は以下です。
・ジャイアンツ公式ファンクラブ
・トヨタスポーツファンクラブ
・カピバラさんキュルッとくらぶ
このように、ファンクラブサイトは様々な領域で存在する身近なWebサイトです。
運営会社のビジネス的な視点では、マーケティングと売上拡大のために運営されるため、対象者に知名度がある場合、基本的には公式のファンクラブを運営します。
ファンクラブサイトのメリット・デメリット
ファンサイトを作成するメリット・デメリットについて解説します。
基本的にメリットが大きいです。
なぜなら、アーティストやブランドなどの知名度次第で売上を見込めること、サイト構築・運営に必要な費用も方法によっては高額ではないため、リスクが少ないことが多いからです。
デメリットになるサイトの制作・運営における負担は、自身が求めるサイトの規模感、運営費用に応じて、外部に委託することで解決が可能です。
以下、詳しく解説します。
メリット | デメリット |
・ファンとの関係を構築できる ・ファンのニーズを分析できる ・安定した収益 ・ファンの満足度アップ |
・ファンクラブサイト運営の負担 |
それぞれ紹介します。
メリット
ファンサイトのメリットを4つ紹介します。
ファンとの関係を構築できる ファンのニーズを分析できる 安定した収益 ファンの満足度アップ |
ファンとの関係を構築できる
ファンクラブサイトを作成することで、ファンとの関係を構築することができます。
ファン対象がより身近な存在となることができるからです。
これによって、個々のファンが一か所に集約し、発信がダイレクトにファンに届けられることがメリット。
ファンも応援する場があることで、ファン同士の情報交換など交流が可能になりファンとしての価値を感じることができるでしょう。
そして関係をさらに深めることで、ファンの忠節心や支持を高めることができるため、ファン数の維持につながります。
ファンのニーズ・属性を分析できる
ファンのニーズを分析できることもメリットのひとつ。
その情報をもとにアンケートをとったり、直接ヒアリングを行うことが手軽にできます。
ファンクラブサイトに登録する際には、会員の個人情報を登録してもらうからです。
どんな商品が欲しい・こういったイベントをしてほしいなど、ファンのニーズを把握するのに役立ちます。
ファンクラブサイトを通していないと、どういったルートで得たニーズなのかが不明瞭で、正確なニーズの分析は難しいです。
しかし、直接的にファンとやり取りすることで、ファンのニーズを正確に分析することが可能です。
ファンの属性が把握できるのもメリットです。データ分析を通じてマーケティングの精度を高めることができます。
安定した収益
ファンクラブを作成することで、安定した収益を得ることができます。
理由は、ファンクラブサイトの会費を安定的に回収できるからです。
イベントで物販を販売して売り上げが確保できれば活動資金を回収できますが、イベントがないときの収益は不安定になります。
会費が納められることで、安定した収益が得られ、活動資金が増えることがメリット。
ファンクラブの運営には、継続的なコンテンツの配信や情報発信が必要です。
運営者にとって負担は大きいですが、安定した収益を下支えしてくれることは活動継続のためにとても重要になります。
有料のファンクラブは利益率が高いです。会員数に関わらず、原価は概ね一定額となるため、会員数が増えればその分利益の割合が増えるからです。
ファンの満足度アップ
ファンの満足度が向上することもメリットといえます。
ファンクラブサイトはファン対象をダイレクトに支援できるからです。
応援したいと思っても、ファンサイトがない状態ではちゃんと届くか支援者は不安になります。
ファンクラブサイトがあることで、アーティストを支援したい気持ちがダイレクトに届くのがわかるので、ファンの満足度が向上します。
身近に同じファンがいない場合でも、ファンサイトにアクセスすることで他のファンと交流できることも楽しみになります。
ただし、最近はSNSに力を入れる運営者が増えたことで、ファンの声がファン対象に届きやすくなりました。
デメリット
ファンクラブサイトにはメリットがたくさんありますが、デメリットもあります。
こちらも確認しておきましょう。
ファンクラブサイト運営の負担 |
最たるデメリットは運営のコスト(費用・時間)です。
ファンクラブサイト運営の負担
ファンクラブサイトを運営するには、時間・リソースが必要です。コンテンツの制作・更新、サイトの管理など運営には手間がかかります。
サイト運営に必要な主な作業は以下です。
コンテンツの更新 セキュリティ対策 会費の管理 イベントの企画 ユーザーからの問い合わせ対応 |
もし、更新が滞ってしまったり、新しいコンテンツの配信がない状況が続けば、ファンクラブサイトを解約されてしまう可能性が高くなります。
ファンクラブサイトの規模が大きくなると、自社で運営せず外部に運営を委託する事例が多いです。
運営は社内か外部に委託するか、サイトの規模感やリソースに応じて検討してください。
ファンクラブサイトの作り方
ファンクラブサイトの作り方を紹介します。
手順は以下を参考にしてください。
サイトの目標やコンセプトを決める プラットフォームを決める ドメインを決める コンテンツの内容を決める デザイン・コーディングをする 必要な機能の設定 オンライン決済の設定 テストとリリース |
それぞれの手順を詳しく紹介します。
サイトの目標やコンセプトを決める
サイトで達成したい目標設定から、サイトの世界観・コンテンツの方向性の検討・要求定義もしておきましょう。
前提条件がなければ、サイトを構築する際にどんな機能・デザインにすべきかを決めることができないからです。
達成したい目標、実装したい機能を決めておくことでサイトの構築がスムーズになります。
ファン数が増えることを見込んでいる場合、サイトの拡張性も重要になってきます。
拡張性がないと売上UPの機会損失につながる可能性があるからです。
プラットフォームを決める
ファンクラブサイトを構築するために、自社のビジネスに適切なプラットフォームを選択します。
以下、代表的なプラットフォームです。
ASPとは、基本的な機能や環境を提供してくれるサービスのこと、スクラッチとは自社で独自開発する手法です。
WordPress | ASP | スクラッチ | |
サイト構築費用 | 数十万円~ | 月額数万円~ | 300万円~ |
機能の種類 | △ | △ | ◎ |
決済機能 | △ | 〇 | ◎ |
セキュリティ | × | 〇 | 〇 |
カスタマイズ性 | 〇 | × | ◎ |
サポート対応 | × | 〇 | △ |
知名度があるファン対象の場合、スクラッチによる構築がオススメです。
なぜなら、ファン数が多いと利益もその分大きくなるので、魅力的なコンテンツの配信や特別なサービスを開発するなど、機能面で投資をしても十分に回収できるからです。
ただし、メンテナンス・セキュリティ対策としてランニングコストが別途かかるので他の手法と比べて全体的に高額です。
小規模の場合、ASPを利用すると費用や構築の手間も省けるので効率的です。ただし、機能面においてカスタマイズはほぼ不可能なので拡張性はありません。そのため、ファン数が増えて色んなニーズに応えようとしてもサービスの仕様上、難しいことが多いです。
ドメインを決める
基本的に、独自ドメインをドメインを提供する会社から有料で取得します。
独自ドメインとは、「アクセルエンターメディア.com」のような、世界に1つしかないドメインのことです。自分で好きな文字列を指定して取得することができます。
ドメインは、ファン対象の名前をつけることが非常に大切です。ファンクラブサイトの入り口になるもので、「公式ファンクラブサイト」として認識されやすいからです。
ちなみに、ドメインには種類があります。代表的な「.jp」「.com」から選び、もしドメインに空き枠がなければ「.net」がオススメです。
コンテンツの内容を決める
どんなコンテンツを配信するかはとても重要です。
ファンが納得するようなコンテンツ内容でないと、ファンが離れてしまう原因になるからです。
有料の会員が、継続して満足感を得られるようなコンテンツ内容を決めましょう。
例えば、ファンクラブサイト独占の写真、ファン対象本人からのコメント、裏話などの情報です。
コンテンツは単発ではなく、定期的に配信し続けられるコンテンツがオススメです。
更新性があるコンテンツがないと、サイトの情報鮮度を保つのが難しく、会員の解約につながるからです。
デザイン・コーディングをする
サイトは、シンプルでわかりやすいデザインを目指します。過剰な装飾や複雑なレイアウトは避け、情報の整理と視覚的な明確さを重視することで、UX・UIが担保できるからです。
どの業種のWebサイトにも言えることですが、ユーザーの利便性が重要です。
ファンクラブのサイト、アーティストの世界観も大事ですが、それ以上に運営者・ユーザーの目的や目標を達成させるためのデザインにするべきです。
必要な機能の設定をする
ファンクラブ会員向けの特別な機能やコンテンツを設定します。
例えば、会員登録・独占コンテンツへのアクセス・イベントへの優先登録・限定グッズの購入・掲示板などのコミュニケーション機能が含まれます。
オンライン決済の設定
会費の支払いやグッズの購入の際に利用する決済機能を導入します。
ファンクラブサイトを独自で構築する場合、通常は決済代行会社と契約します。
ASPを利用の場合、標準機能として実装されていますので、個別で契約する必要はありません。
オンライン決済は法人だけではなく、個人でも契約が可能です。
代表的な決済代行会社は、PayPal・STORES決済・ イプシロン・Squareなどです。
テストとリリース
サイトをテストし、動作確認を行います。すべてが正常に動作することを確認したら、サイトを公開します。
ファンマーケティングのご相談は、アクセルエンターメディアにお気軽にご相談ください。 400を超える支援実績から最適なご提案をします。 相談する |
ファンクラブサイト作成プラットフォームおすすめ一覧
できるだけ費用をかけずにファンクラブサイトを作成するなら、ASP各社が提供しているサービスを利用することがオススメです。
多くのサービスは初期費用・月額料金が無料で、売上金額に応じた手数料をASPに支払います。
サービス名 | 特徴 | 主な機能 | 費用 | ユーザー数 |
FANCLOVE | 基本料金無料で基本機能が備わったサービス | プランや特典の追加・月額決済・チケット発行・投稿・メッセージ | 売り上げの8% (携帯キャリア決済の場合は20%) |
10万人※2021年時点 |
Bitfan | アプリで管理できるオールインワンのサービス | ライブ配信・グループチャット・ビデオトーク・チップ | 会費の20% (携帯キャリア決済の場合は50%) ※その他コンテンツによって割合が異なる |
103万人※2022年時点 |
MODD | リアルイベントとの連携に便利なサービス | EC・会報誌発送・POSレジ連携・商品の会場引き換え・先行仮予約・抽選販売 | 会員管理 12,500円~ CMS 30,000円~ ※詳細は問い合わせ要 |
累計利用者数1億人※2018年時点 |
FAM | 豊富なテンプレートや充実サポートプランも選べるサービス | 限定コンテンツ・ライブ配信・ブログ・メルマガ・ビデオトーク・グッズやコンテンツ制作 | 高還元プラン: 会費の20% ライブ配信の投げ銭25%~ 充実サポートプラン:売上の30%~ |
有料会員数1.7万人※2022年時点 |
Fanpla Kit | アーティストに特化した最短一日で開設可能なサービス | ニュース投稿・ブログ・ムービー・ラジオ・メルマガ・チケット販売・ストリーミング配信 | 売上の30% | 非公開 |
自社が提供したいサービス、手数料を軸に比較して検討してください。
ASPは初期費用・月額料金が無料で、費用は売上に応じた手数料のみです。とにかく無料で安価なファンクラブサイトを運営したい場合に向いています。
個人でファンクラブを作成するなら、ASP以外にWordPressでも可能です。
ただし、自身でドメイン・サーバーの契約をして、記事を作成する必要があります。
ちなみに運営が非営利であっても、プライバシー権・肖像権・パブリシティ権には注意が必要です。
規模感が大きいファンクラブならスクラッチ開発がオススメ
ファン対象に知名度がありファン数が多い場合は、スクラッチ開発がオススメです。
メリットが多いからです。
・デザイン・機能の自由度が高い
・ブランドの独自性を表現しやすい
・拡張性がある
・長期的なコスト削減
企業のメリットはもちろん、ファンのニーズも満たしやすくなります。
例えば、デザイン・機能面において他社との差別化ができるので、ブランドイメージの強化が可能です。
ASPとは異なり、サイトの仕様・機能を自社で追加できる拡張性があるため、サイトの規模感の拡大やユーザーのニーズに対応することが可能です。
スクラッチ開発は初期投資が大きいかもしれませんが、長期的には利益率が高くなる場合もあります。
運営者が成果を高めるためにファンサイトをスクラッチ開発することは、知名度があるファン対象であれば合理的な選択となります。
ファンクラブサイトの事例
企業が運営しているファンクラブのサイトの事例を紹介します。
・Superfly(アーティスト)
・おそ松さん(アニメ)
・刀剣乱舞(舞台)
各企業とファンクラブサイトの構築から運営における課題を解決しています。
Superflyオフィシャルファンクラブサイト
事例紹介
おそ松さんファンクラブ
事例紹介
刀剣乱舞ファンクラブ
事例紹介
ファンクラブサイト作成の注意点・コツ
ファンクラブサイトを作成する際の注意点・コツを紹介します。
限定情報の発信 集客をする 体験を重視する セキュリティ対策 |
ファンクラブの運営を円滑にしておくための注意点やコツについても、ひとつずつ解説していきます。
限定情報の発信
ファンクラブサイトを運営するうえで、限定情報を配信することは大切です。
ファンサイトの会員でないと入手できない情報には、高い価値があるからです。
今はSNSでいつでもだれでも発信でき、公開情報は簡単に入手することができます。
だからこそ、会員のみの情報の限定性はファンの満足度につながるでしょう。
限定情報が発信されることで、ファンクラブサイトの会員になるメリットを強調することができます。
ファンクラブサイトへの集客施策を行う
ファンクラブサイトにファンを集客しましょう。
サイトを訪問してくれない限り、ファンクラブサイトに登録することはありません。
ファン対象の各種メディアやイベントにおいて、ファンクラブサイトのプロモーションを行ってください。
ファンクラブサイトの会員になる方はファンしかいません。
ファンができるだけファンクラブサイトの会員になるように、集客施策を定期的に実施しましょう。
会員になるタイミングは、ファンの熱量が高いときです。
例えば、ライブ・トークイベントなどのイベント後はファンの気分が高揚しているため、積極的に会員登録を促すと通常より高い成果を期待できます。
人は具体的な行動を要求・指示されないと動きません。
体験を重視する
会員を維持するためには、ユーザーに積極的にサイト内のコンテンツを体験してもらうことが重要です。
体験価値が向上することで、満足度が高くなるので継続につながります。
例えば、ポイントやプレゼントをもらう・ファン対象からメッセージが届く、チケットの先行予約などを体験することが効果的です。
アイドルグループもライブ・イベントでファンサ(ファンサービス)をすることで、ファンの心をしっかりつかむようにしています。
このように、実際に体験することの価値が高いのです。
セキュリティ対策
ファンクラブサイトは、ファンの個人情報を管理するのでセキュリティ対策は重要です。
なぜなら、個人情報の流出はファン対象の信頼を失う可能性もあるからです。
不正アクセス・情報漏洩を防ぐため、セキュリティ対策は万全にしましょう。
運営プラットフォームを選ぶ際は、データセンターの安全性・バックアップ・システムの安定性を確認する必要があります。
まとめ
ファンクラブサイトを作成すると、様々なメリットがあります。
特に収益性が高いビジネスにつき、安定的な収益が見込めるためファン対象の活動を支えることができます。
一方でデメリットとして、運営の負担やコストがかかります。
また、個人情報を扱うので厳格な管理も必要です。
最近はASPも増えており、ファンクラブサイトの構築・運営の敷居が下がりました。
一定の規模感があるファンクラブサイトであれば、スクラッチで構築して、利益率の高いビジネスが可能です。
実績豊富なプロの制作会社に相談するのをオススメします。予算に応じて柔軟な提案をしてくれるはずです。
安定的な収益が見込みやすいファンクラブサイトは、ファン対象を支える企業にとって、有益なビジネスになるはずです。
ファンマーケティングのご相談は、アクセルエンターメディアにお気軽にご相談ください。 400を超える支援実績から最適なご提案をします。 相談する |